生活介護 こもれびの家
建設地 | 浜松市北区根洗町 |
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構造 | 木造平家建 |
面積 | 1241.29m²/375.47坪 |
竣工 | 2021年8月 |
建設地 | 浜松市北区根洗町 |
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構造 | 木造平家建 |
面積 | 1241.29m²/375.47坪 |
竣工 | 2021年8月 |
緑豊かな住宅地に建つ、知的障害のある方々を支援する介護施設と、
そこで生まれる授産品を販売する店舗を併設した障害者福祉施設です。
今回は普段と趣向を変えてドキュメンタリー形式にお伝えしたいと思いますので、少しの時間お付き合いください。
お施主様は障害者福祉サービスで数十年もの実績のある社会福祉法人様で、今回は設計者選定コンペをされるとのことで、法人様とのお付き合いの長い知人よりご紹介を頂きました。
お話を伺いながら、法人様が大切にしている福祉サービスや地域への思いを深く感じることができ、それを建築士としてお手伝いするには何ができるかなど、何度も現地や既存施設に足を運び学べた事を計画に表現したところ、ご賛同頂き設計監理者としてご縁を頂きました。
この施設は利用される障害者さんの特性から多くの大空間を必要としたので、鉄骨構造をセオリーとするところを木構造での計画としました。
中には建物の耐久性や、衝動的に破壊行動をとってしまう利用者さんへ対処など、木造とする事への不安要素もご相談されましたが、ひとつひとつ丁寧に解決していくことで、関係者の皆様に納得を頂き、私も安心して設計作業を行うことが出来ました。
数十社の競合から名乗りをあげてくださった施工業者さんにも大変前向きに協力をいただき、以下の様な建物が出来ましたので、その一部をご紹介させて頂きます。
外観は授産品販売店舗への視認性を高めつつも、近隣風景に馴染む素材や色使いを意識しました。
深い軒を建物全体に設けることで、強い日差しや雨から利用する方々を守ります。
深い軒の車寄せは、屋内と屋外を緩やかに繋げる機能もあります。
屋内と屋外を一体的に使うイベントにも対応する店舗エントランスです。
店舗内は授産品販売スペースとカフェスペースの雰囲気を、統一感を持たせつつも変化を楽しめるよう演出しました。
店舗の壁材は外壁同じ材料も使い、屋内と屋外テラスがガラス一枚を挟んで繋がって見える演出です。
障害のある方の出入りが頻繁な玄関は、駐車場から段差ゼロになるようにしつつ、昨今の大雨にも大丈夫なよう高さ設定を工夫しました。
車イスもすれ違いが容易な広い廊下は、部屋に囲まれつつも明るくなるように工夫しました。
廊下に設けた洗面化粧台は、車イスの方もそうでない方も気兼ねの無く使いやすさを心掛け検証を重ねました。
障害のある方々が利用する部屋は、全てが広く余裕のある空間が必要です。
特性の違う利用者さんの居間を隔てる間仕切りを可動式にすることで、更に広いイベントスペースとして利用することもあります。
それらを考慮すると建物の主構造に木造を選択することは難しく、計画当初は鉄骨造にすることで法人の方々も意識統一されていました。でも建物の軽量化から生まれる基礎の簡略化などといった工期の短縮や経済効果、また社会問題化している資材不足にも対応するため、これらの難しい課題を木構造で解決しました。
とは言え世間一般的な木構造とは異なるので、その違いをご説明します。
広いスパンを作るのに必要な屋根の構造梁は、「トラス梁(はり)」と言う特殊な形状をしています。
トラス梁は工場で製作され運搬されました。
トラス梁をクレーンで置いていくだけ作業は難しい箇所が少なくスムーズで、施工精度の向上にも役立ちました。
同じ形状のトラス梁が同じ間隔で整然と並ぶ様子は圧巻でした。
これらの事から、普通の木造では考えにくい、柱の少ない広い空間を実現することができました。
以上を経ながら完成した建物を実際に利用された方々から「使い勝手の良い間取り」や「これまでの鉄骨造の建物より夏涼しく冬暖かい」など、今回のプロジェクトへの嬉しい評価を頂き、設計者冥利に尽きる楽しいお手伝いになりました。
長い読み物にお付き合いくださり、ありがとうございました。
これからも建築に携わる者として頑張って参ります。
ひとつは、利用者さんが一生懸命に練った土をカタチにし、専用の窯で焼いた陶芸品です。
大小様々な陶芸品は、味わい深く柔らかく表現され、いつも心を癒してくれる「遠州根洗窯」として有名です。
二つめは、利用者さんが美味しく作ったパンやクッキーです。
こちらも「Zebra Club」として銘打って、この店舗のみならず地元の大手スーパーマーケットさんでも取り扱うほどの人気商品です。